今回は、コロナ禍によって導入が進んだ「オンライン商談」について考えてみたいと思います。
間違いなくメリットは多い。
一方で、考えなければならない課題も見えてきました。
オンライン商談のメリット
●移動に係る時間と費用の削減
オンライン商談の良い部分は、何より「時短」に繋がるという点。
これまで費やしていた移動に関する時間や費用が不要になるというのは、企業の経費削減に大きな成果をもたらしているのではないでしょうか。
先方側も打ち合わせのためのお茶を準備したり、部屋を人数分確保すると言ったことも不要になります。
お互い、商談の導入部分としてはやりやすくなったでしょう。
●ターゲットとなる営業先を全国へ拡充
これまでは営業先エリアを限定していたものを、オンラインに切り替えたことで一気に全国規模にまで拡大出来た、なんて話も聞きます。
もちろん、営業している商品やサービスによって変わってきますが。
結果として、営業数を昨年以上に伸ばした企業も多かったのではないでしょうか。
オンライン商談のデメリット
・コロナ禍のテレアポは不在が多い
これは、オンライン商談のデメリットと言うよりは、コロナ禍における弱点ですね。
BtoB営業で、特にターゲットとなる顧客が大企業となると、先方の社員は殆どが在宅勤務になっています。テレアポを主軸にしていた営業スタイルであれば、そもそも担当者と繋がりにくくなったはずです。
●気軽な商談キャンセルも増えた?
オンラインで有れば、気軽にキャンセルされるケースも増えたようです。これは、KPIの数値を細かく分析してみると、目立ってくるかもしれません。
コロナ禍における「オンライン商談」で見えてきた傾向とは。
国内No.1のオンライン営業システムを提供している「ベルフェイス」が2020年5月にオンライン商談の調査結果を発表しています。
「オンライン商談」に関する実態調査をベルフェイスが実施
https://corp.bell-face.com/news/2935
その結果によりますと、
急速にオンライン商談は進みましたが、それによって必ずしも成功しているとは言い難いようです。
むしろ、既存の営業スタイルをそのままオンラインにシフトしただけではうまくいかない「課題」も見えてきました。
冒頭で申し上げた通り、
●移動コストの削減
●リードタイムの短縮
この2点については、成果が出ているようです。
スピーディーに話し合いが進ので、両者にとってメリットはある。
しかし。
それ以外の項目、
●商談数の増加
●受注・成約率の向上
●売り上げの増加
●新規顧客の拡大
と言った項目では、オンラインに切り替えたことで「上がった」と答える数より「下がった」と答えた数の割合が高かったようです。
つまり、営業プロセスにおける「後半のフェーズ」においては、まだ訪問の方が成果が出しやすいのではないかと言う結果になっています。
訪問していないから、会っていないから「決まらない」というケースは増えているのかもしれません。
また、営業のどのフェーズで「オンライン商談を行っているか」と言う調査によれば、
「既存顧客へのフォロー:44.6%」
「新規顧客との2回目以降の商談:31.2%」
が高い傾向にありました。
しかし、「新規顧客との契約」と言うフェーズに行くと9.4%まで下がります。
この結果こそが、営業プロセスの後半フェーズにおいてオンラインは弱いと言う象徴かも知れません。
BtoB営業のオンライン商談の今後について
上記の調査結果を踏まえて言えること。
例えば、保険やコンサルティングのような無形商材を提供する営業にとって、オンライン商談には一つの致命的な欠点があると思います。
それは「信頼構築の難しさ」です。
オンライン上だけで契約に持ち込むのは、ここに高い壁があると感じます。
例えば、顧客の不安解消についてです。
訪問していれば(お互いに会っていれば)、表情の変化や雰囲気でうまく会話のキャッチボールが出来ていた。向こうも疑問点に関して気軽に質問も出来たかも知れない。実際に会って、お互いが顔を合わせることで「不安を解消する」と言うプロセスが無意識に出来ていたのではないか。
それが、オンライン上になると少し難しくなる。そうすると、自分たちの商品やサービス、強みや特徴をうまく顧客側に説明しきれないと言うことが起こり得ると思います。
サービスを購入すると言うのは、それだけコストをかける訳ですので顧客の決済者も簡単に判断は出来ない。「このサービスを使ってみよう」という確信に至るにはきっと、営業担当者への期待や信頼、安心感も必要になる。そう言った目に見えないものをオンライン上で構築すると言うのは、もしかしたら難しいのかも知れません。
これからの営業はどう変化するか
しかしながら、コロナ禍前の営業スタイルに戻ることは考えにくいです。
「非対面の営業」が今後広まる可能性は十分にあるでしょう。
だとしたら、臨機応変にオンラインとオフラインをうまく活用していく「ハイブリッド型」でいくべきでしょう。
そして、どうしたらオンラインで信頼関係を築き、オフラインに繋げることが出来るか。
「どうすれば顧客にとって価値のある提案が出来るか。」
営業の前半過程、ヒアリングまではスピード感が重要です。
先方が求めている情報をスピーディかつ的確に提供出来ること。
そして、提案の段階では、「質」がシビアに求められてきます。
その質を直接伝えるのです。
結局は人と人。
質を向上させ、その場の雰囲気を共有することで打ち解けあう。
提案及びクロージングは出来る限り、対面で行っていくのが良いのではないでしょうか。
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