2020年3月、新卒採用市場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) によって大きな混乱の中にありました。
あれから半年、これまで根付いていた就職活動や採用活動の価値観、暗黙の了解とされていたものが崩壊し、新たなシステムが台頭しています。まさに令和2年は、採用市場において大きな転換点となる年であったと思います。
この混乱期に、機敏に対応出来た企業と、遅れをとった企業では、その後の結果に大きな差が生まれたかもしれません。
『成功した企業と苦戦した企業』
どこにその分岐点があったのか。 21卒採用を振り返ってみます。
採用活動における「運用体制」はどう変化したか。
まず、全体的なスケジュールは、後ろ倒しになったと思います。
4月7日、7都府県を対象とした緊急事態宣言が発令され、外出自粛が要請されました。それに伴い、4月/5月に予定していた面接は、企業も学生も身動きが取れず延期せざるを得なかったはずです。その結果、学生自身も活動量のピークは例年より遅くなってしまったのではないでしょうか。
採用活動の運用面で大きな変化といえば、一気に「オンライン化」が進んだことだと思います。
リクルートやマイナビが主催の合同企業説明会が軒並み中止となり、WEB上での合説イベントに切り替えられました。さらには、企業説明会や面接も様々なシステムを使ってオンラインで行われることになりました。活躍したのは、「ZOOM」や「Microsoft Teams」「V-CUBE」などのWEB会議システムです。HARUTAKAやインタビューメーカーなど採用に特化したWEB面接サービスを利用する企業もありました。
エントリー状況はどうだったのか。
やはり、学生の就職活動量は減っています。
マイナビの調査では、20卒は一人当たりのエントリー社数23.7社でした。しかし、21卒では20.9社と約3社ほど減っています。学生一人一人がエントリーする企業の数が減っていると言う調査結果ですが、その大きな要因は「選考の早期化」でしょう。
いま、新卒採用を行っている企業の約6割がインターンシップを実施しています。そして、就職を希望する学生の約85%が2月までに何処かの企業のインターンシップに参加しています。このインターンシップ期間を利用して学生は企業情報を収集するんですね。そうすると、2月末の時点である程度「志望業界・志望企業」を絞り込んでいるわけです。よって、3月以降の本選考時期に無理してエントリーする必要性はないわけですよね。今後、このような動きは一般化するものと思われます。
また、合説などを母集団形成の軸にしていた企業も、今回の相次ぐ開催中止によって、計画が狂ってしまったかもしれません。
一方で、独立行政法人や政府系企業には例年以上にエントリーが集まったという話も聞きます。コロナ後の経済情勢から、安定志向が強まったのかもしれませんね。
次回に続きます。
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